『悲しい話は今はおしまい』発売です

お久しぶりです!
小沼理 2026.04.10
誰でも

 ずいぶん久しぶりのニュースレターになってしまいました。不安や怒りを覚えることの多い日々ですね。

 SNSなどですでに知ってくださっている方もいるかもしれませんが、新しいエッセイ集ができました。『悲しい話は今はおしまい』という本です。今日が取次搬入で、週末〜来週から徐々に書店にも並びはじめると思います。

ALT:『悲しい話は今はおしまい』表紙。ツツジの花の前で撮影

ALT:『悲しい話は今はおしまい』表紙。ツツジの花の前で撮影

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今だけは「明るい話」をしよう。

絶望しないで話し続けるために。

抵抗の中にあるユーモア、クィアたちの踊りとおしゃべり、立場や属性からはみ出ること。傷も喜びも責任も抱えながら社会と向き合った、実践のエッセイ集。

【内容】

この傷だらけの時代に、希望をどう語れるだろうか? 悲しみから目を背けるのではなく、喜びを抑圧するでもなく、その関係をもっと複雑にしていくことはできないだろうか。星々の結び方を変えて、新しい星座を作るみたいに。

“これは私が喜びに罪悪感を抱くのではなく、社会と向き合う原動力に変換することを学んだ話である。そして、その近くにいたたくさんの人たちの話でもある。友人たちの前向きさや気楽さ、喜びも政治的実践も諦めない姿は、私にとって星の光だった。”

(「はじめに――緊張しながら笑う」より)

友達のクィアパーティ、ゲイアーティストとの対話、タイムラインを埋め尽くす犬の動画、パレスチナ解放デモ、プロテストのTシャツ作り、植物の世話、韓国語の勉強……。悲しい星座と明るい星座をぐるぐるしながら、暗い日々を生き延びる19編。

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 初稿の執筆は2024年の秋から1年くらいかけて行いました。初稿を書き終えたくらいの頃に高市政権が誕生。アメリカとイスラエルがイランを攻撃したのが校了の直前です。なのでここ半年くらいのことは、本には反映されていません。本を作るのは時間がかかる……!

 この半年、この一ヶ月で社会の混迷度がさらに高まったように感じています。そしてそんな状況だからこそ、たくさんの人が積極的に動きはじめたのも見ています。

 たとえば本の中では、韓国の戒厳令の時のペンライトデモやユニークな旗について紹介しています。まさかその本が出るよりも先に、日本の国会前がペンライトの色とりどりの光で埋め尽くされる光景を目撃するとは! 書いた時は想像もしていなかったから、ちょっと追い越されたような気分(?)。

 今の日本のこと、その中で起こった自分の変化も記録できたらよかったなあと少し思う。でも明らかにフェーズが変わったからこそ、その前のことをその前のこととして記録できてよかったとも思います。

 それに、今起きていることはこの本に書いているできごと(第二次トランプ政権、ガザでの虐殺……)と地続きでもある。そして「何かしなくちゃ」という思いがあふれ出すようにたくさんの人が動きはじめた今だからこそ、より身近なものとして響く言葉もあるんじゃないかと思っています。

 あと、無力感を感じていたり、絶望しそうになったり、ちょっと息切れしてきてしまったりという時のための湿布や軟膏として役立つ言葉もあるんじゃないかなー。自分がそういう状況で書いたものでもあるので。

 試行錯誤しながら社会と向き合う話が多いけど、植物の世話をしたり、韓国で漢江沿いを友達と散歩したりした話も入ってます。私はつい自分の書くものを誰かの役に立てたい、そうじゃないと存在価値ないくらいに思ってしまうから、今回の本ではその外に出ようとがんばった……!

 「個人的なことは政治的なこと」というスローガン(もともとの意味から派生したより広い現在の使われ方のほう)が広まる中で個人のあらゆる行動が政治に回収されるようになったけど、あんまり突き詰めると潰れてしまったり、他人の行動を許せなくなって変なところに激しく怒ったりしがちだなーと思います。個人的なことを個人的なままにしておくのもたまには大事。

 そして残酷なニュースはいつもある、今すごく苦しんでいる人もいる。それを知りながら、「普通に」過ごせるならそう過ごす時間を作るのも大切なのかもと思っている。そしてそのぶん別の時にがんばればいい。そんな気持ちも込めての『悲しい話は今はおしまい』です。

 ちなみに同じく柏書房から少し前に『みんなこうして連帯してきた 失敗のなかで社会は変わっていく』(ジェイク・ホール著、安藤貴子訳)という本が刊行されました。編集は私の本と同じく天野潤平さん。

 発売に先んじて『悲しい話は〜』のゲラを読んでくれた方が「連帯本とけっこう同じこと言ってますね」という感想をくれました。そうなのです。私は『みんなこうして連帯してきた』を執筆を終えてから読んだのですが、本当に奇しくも重なったところがいくつもあった。本は時代の中で書かれるものだから、自然と同じ方向を向いた言葉が出てくるのかもしれないですね。併読推奨です!

ALT:『悲しい話は今はおしまい』がテーブルにたくさん並べて置かれている。サイン本を作った時のもの。

ALT:『悲しい話は今はおしまい』がテーブルにたくさん並べて置かれている。サイン本を作った時のもの。

 ありがたいことにサイン本を作らせてもらっていたり、刊行イベントがあったりします。詳細は柏書房のnoteをご確認いただけたらと思いますが、直近だと20日(月)に三軒茶屋のtwililightで『そいつはほんとに敵なのか』(hayaoki books)の碇雪恵さんとのトークがあります。

 あと、18日(土)には高円寺の蟹ブックスで店番をしています。イベントとかはなく普通に毎月のバイトの一環ですが、一応発売日付近の土日にシフトを入れてもらいました。レジ打ち、カバーかけ、サイン、なんでもします!

 イベントはこのほかにも東京、京都、大阪で準備中のものがあります。続報をお待ちください。

 読んでもらえることを楽しみにしています。どうぞよろしくお願いします!

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