ピンクウォッシュ禁止!Tシャツ、寄付のご報告&追加生産します![忘れた頃に届く 2024年4月④]

この前デモでスピーチしました。その原稿も載せているよ
小沼理 2024.04.24
誰でも

 こんにちは。10月7日から200日が経ちましたね。今回はトピックが二つあります。

①YOU CAN'T PINKWASH GENOCIDE Tシャツ、寄付のご報告と追加生産予告

②渋谷ハチ公前「虐殺にプライドはない!スタンディングデモ」でスピーチしました

①YOU CAN'T PINKWASH GENOCIDE Tシャツ、寄付のご報告と追加生産予告

ALT : YOU CAN'T PINKWASH GENOCIDE Tシャツ、プリント部分のアップ。二人の人が抱き合い、右の人は「『ゲイ』の名の下に虐殺するの?」左の人は「ピンクウォッシュ禁止!!」と発言している。そのイラストの下に「YOU CAN'T PINKWASH GENOCIDE」と書かれている。

ALT : YOU CAN'T PINKWASH GENOCIDE Tシャツ、プリント部分のアップ。二人の人が抱き合い、右の人は「『ゲイ』の名の下に虐殺するの?」左の人は「ピンクウォッシュ禁止!!」と発言している。そのイラストの下に「YOU CAN'T PINKWASH GENOCIDE」と書かれている。

 とれたてクラブさん、loneliness booksさんと作ったYOU CAN'T PINKWASH GENOCIDE Tシャツ、購入いただいた皆さまありがとうございました! TRPは初日金曜日が強風で中止となりましたが、土日の二日間で計50枚販売することができました。60枚刷ったのですが、金曜が強風で中止にならなければ確実に完売していたことでしょう……。

 ということで、お知らせしていた通り今回の売上から1枚につき1000円、計6万円を寄付しました

 まだTシャツは取り置き分などを除いても多少在庫があるのですが、製作費は回収できましたし、なるべく一度に行えたほうが作業コストの点でも寄付にかかる手数料の点でもよいだろうと判断し、売り切った時の金額を寄付しています。

 今回の寄付先は4月24日時点でpalestinejpnのドネーションページに掲載されているGoFundMeの中から、「緊急の医療」が必要とされている30のプロジェクトに振り分けました。6万円÷30で、一つあたり2000円です。GFMはプロジェクトによって通貨がドルだったりユーロだったりばらばらなのと、小数点以下の寄付はできないので、2000円を下回らないように調整して寄付しました(例:2000円が12.9ドルの場合、13ドルを寄付)。

 寄付の明細はこちら。一つ一つのプロジェクトの領収書もメールで届いているのですが、数が多かったりサムネイルがなくてわかりづらかったりするので、この寄付履歴を証明とさせてください。もし領収書もしっかり見たいという方がいらっしゃいましたら小沼までお問合せいただければ対応します。

 そしてTシャツ、ほしい色やサイズが売り切れてて買えなかった!という方がけっこういたのと、TRPに行けなかった&行かなかった人もいると思うので、追加生産を準備中です!もちろんこの分も1枚につき1000円をパレスチナの人たちに寄付します(寄付するプロジェクト・団体は検討します)。

 あんまり在庫が余らないようにしたいので、事前に予約を受け付けるかたちにして半分受注生産みたいにするかもです。予約ページなど、準備ができたら小沼、とれたてさん、loneliness booksさんのSNSなどで告知しますので、みなさん続報をお待ちください。

 あっ、それから忘れてはいけないのは、寄付はあくまで対処療法だということです。今ガザの物価が高騰しているのは支援物資が十分に入ってこないからだし、ガザの人々が寄付を求めているのは本人や家族が怪我をしたり、この状況では仕事ができなかったりするから。なんで支援物資が入ってこないのか、なんで命や身体の一部を奪われるような脅威にさらされているのか(誰が攻撃しているのか)、なんで仕事ができないのか……そう問わなければいけない。どれだけ寄付を集めても、状況が変わらなければ同じことを繰り返すしかないです。そうしないためにも、日本政府や国際社会に即時停戦を求めたり、イスラエルに占領・虐殺をやめるよう圧力をかけ続けていきましょう。

②渋谷ハチ公前「虐殺にプライドはない!スタンディングデモ」でスピーチしました

 TRPでパレードが行われた4月21日、渋谷ハチ公前広場で「虐殺にプライドはない!スタンディングデモ」と「パレスチナに連帯するクィアの集い」がありました。その第一部、スタンディングデモのほうでスピーチをしました(デモでスピーチしたのはじめてでした!)。短いものですが、その原稿をここに掲載します。

——

 みなさんこんにちは。ライターの小沼理です。ゲイ・シスジェンダーです。

 「ハッピープライド!」という言葉を聞く時、それを口にした人がハッピーだといいなと思います。と同時に、ハッピーではいられないクィアのことを、いつからか思い浮かべるようになりました。今年は特に、パレスチナのクィアのことを考えます。

 マクドナルド、アマゾン、グーグル、ディズニー、川崎重工業、住友商事……ご存じの通り、TRPにはイスラエルの虐殺に加担する企業がたくさん名を連ねています。それは「ハッピー」でしょうか。「プライド」はあるでしょうか。この状況を批判せず「ハッピープライド!」と叫ぶことは、パレスチナのクィアを含むすべての人々の苦しみを覆い隠してしまうのではないでしょうか。

 私はいないことにされる苦しみや、「自分には関係ない」と素通りされる苦しみを知っています。その苦しみをこれ以上感じたくないし、誰にも与えたくありません。クィアであることやその喜びを悪用されたくありません。

 イスラエルによる虐殺、入植、占領について、話し続けましょう。それに加担する企業を名指して、批判し続けましょう。即時停戦を求め続けましょう。パレスチナに連帯し続けましょう。解放のために行動し続けましょう。

——

 当日はピンクウォッシュ禁止!Tシャツを着てました。ピンクウォッシュの話もできたらいいなと思ったけど、時間が限られていたのでそれはやめて(Tシャツに託して)、なるべく言葉をほぐして伝えようと考えてみました。

 5月刊の『共感と距離感の練習』の一編ではTRPへの複雑な気持ちを書いています。パレスチナのことを扱ったエッセイも収録していて、そこでは2023年11月にこのハチ公前であったデモに参加したことを書きました。だからパレードの日に、自分がハチ公前でスピーチをしているというのは不思議な感じでしたね。

 自分の出番のあとはTRPの会場へ移動しTシャツを売ったりしていたのですが、虐殺に反対するため黒い服を着ている人、連帯を示すパッチを身につけている人などがたくさんいて、大勢の人が心を寄せていると感じました。だからこそTRPの運営にもあのような声明文ではなく、真摯な対応をしてほしかったと思います。

****

ALT:2冊の冊子が並べて置かれている。左は「レバノン*プリズム*ナイト」のパンフレットで、中央にはレバノン系フランス人映画作家のハーディー・ムッサリーによる短編『男の華』のスチール写真が配置されている。写真には覆面のドラァグパフォーマー、サルマー・ザホールが、屋外で両手を真上に掲げた姿が写っている。右の冊子は「パレスチナのクィア達からの解放に向けた要求」というZINE。Queers in Palestineの呼びかけや要求文をWAIFUメンバーが日本語訳したもの。

ALT:2冊の冊子が並べて置かれている。左は「レバノン*プリズム*ナイト」のパンフレットで、中央にはレバノン系フランス人映画作家のハーディー・ムッサリーによる短編『男の華』のスチール写真が配置されている。写真には覆面のドラァグパフォーマー、サルマー・ザホールが、屋外で両手を真上に掲げた姿が写っている。右の冊子は「パレスチナのクィア達からの解放に向けた要求」というZINE。Queers in Palestineの呼びかけや要求文をWAIFUメンバーが日本語訳したもの。

 話は変わりますが、昨晩は「レバノン*プリズム*ナイト」に行きました。パレスチナの隣国で歴史的にも繋がりの多いレバノンのクィアにフォーカスしたプログラムで、ハーメド・スィンノー(クィアプリズムフラッグをデザインした人物)がリードシンガーを務めるバンド「マシュルーウ・レイラー」とそのファンが直面したできごとを追ったドキュメンタリーや、レバノン系フランス人映画作家のハーディー・ムッサリーの短編3作品の上映、ハーディーさんを現地に迎えてのトークなどがありました。

 ハーディーさんの短編『帽子』は、フランスで暮らすハーディーさんが身支度をしている映像に、外見からアラブ系/ゲイと判断されることでどんな体験をするのかを語ったモノローグを合わせた作品。ヨーロッパでアラブ系のゲイとして生きていると、ホモフォビアとレイシズムを同時に経験することになる。「中東のクィアは西洋に行けば救われる」みたいなよく聞く言説が当事者の実感とはかけ離れていることが、3分ほどの短い作品で明らかにされていた。その後のトークでハーディーさんが話した「アラブは天国じゃないけど、地獄でもない」といった言葉がすごく印象に残りました。「レバノンにはドラァグカルチャーをはじめ、濃いクィアコミュニティがある」とも言っていて、ハーディーさんがそれを誇りに思っているのが伝わってきました。

 『男の華』という短編には、ハーディーさんのアルターエゴであるドラァグクィアパフォーマーのサルマー・ザホールが登場します(サルマーさんは「パレスチナに連帯するクィアの集い」でもスピーチとショーをしていました)。『ベリーダンス・ヴォーグ』という作品にもドラァグのキャラクターが出てきて、ハーディーさん曰く「この時はまだ名付けていなかったけど、このキャラクターもサルマーにつながるもの」だそう。

 『ベリーダンス・ヴォーグ』『男の華』にはもちろん悲しみもあるんだけど、それ以上に映像がかっこよくて魅力的で、着飾ることとか、踊ることとか、美しいものを作っていくこととかの喜びがちゃんと映っている気がして自分は胸を打たれました。今起きているひどいことに目を背けるのではなくて、そうした状況にあって喜びを表現することが抵抗になっていくことを改めて教えられた気がした。自分もこうやってタフに喜びを求めていきたいと思いました。もっと多くの人がハーディーさんの作品を見る機会があるといいなあ。

 Tシャツの予約準備ができたらまた告知しますね。それではまた!

ALT:きのう見つけた「FROM RIVER TO THE SEA」と書かれたグラフィティ

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